配信でドラマを観るのが好きで、今月にかけても『THIS IS US 36歳、これから』というアメリカの作品をシーズン3まで一気見した所です。(ちなみに、シーズン2まではAmazonプライムで観られるのですが、3はU-NEXTの無料会員期間で観たほうがお安そうだったので、そちらを使いました。ただ、課金は少しあります。)
ジャックとレベッカという夫婦には子供たち(みな36歳)がおり、彼らそれぞれが抱える悩みにクローズアップする所から物語は始まります。彼らの中でランダル&ベス夫婦が私のイチ押しだということはとりあえず置いておいて、シーズン3ではある人物がベトナム戦争に出兵した時の話が出てくるんです。
罪のない子供が傷を負い、仲間が地雷によって足を失い、次第に人としての良心を失っていく者もいる。戦争の残酷さを知った彼は、兵役を終えて祖国アメリカに戻ります。
その後ある女性と恋に落ちて家族になりますが、戦争で負った精神の傷は深く、家庭という安心できる場所で愛する人たちに囲まれて数年が経っても、その環境に依然として戸惑いを覚えてしまいます。
いわばPTSDのように、過酷な経験した人間は平穏にすぐ溶け込むことができない。なぜかまた同じような辛い環境を求めてしまうことすらある。人間の心理って、本当に説明がつかないんですね。
今日、こんな記事を見つけました。心理カウンセラーの根本裕幸さんが書かれたものです。
戦場から帰ってきた兵士が平和な日常に慣れなくておかしくなっちゃうって話、聞いたことあります?
ベトナム戦争後のアメリカで頻発した問題なんですが、長らく戦場にいて死の恐怖と戦い続けると、安心して生活できる場にいると心が付いて行かなくなっちゃうんです。
それで事件を起こしたり、再び従軍したりってことになります。
ありがたいことに、今は人々が戦争を経験しなくて済む世の中になりました。けれど戦争ほどではないにせよ、こうした人間心理というのは現代人のさまざまな事に通じるのだろうと思います。
ハードな状況から解放されて安全な環境に移り、さぁ少し余裕をもって色んなことが整理できるぞと思っていたのに、やる気がなくなってしまった。やっぱり自分はあのハードな状況を欲していたのか?と思い、結局また元のような環境を選んでしまう。
でもそれって、ハードな状況がいつの間にか自分の通常モードになってしまったから、起きることだったんですね。
【THE.・ハード中毒患者になるまでの道のり(想像)】***
本来の自分はもしかしたら、起こされなければ何時まででも寝ているようなぐーたら野郎で、「風呂入れ!」と言われないと3日ぐらいそのままになってる人で、一人じゃ何も決められない人なのかもしれない。でも、外でそれだとまずいとはさすがに分かるわけです。だからこなして仕事に行く。
与えられた仕事を6割で仕上げていたけど、8割やってみたら少し褒められた。嬉しくなり、今度は頑張って100%、120%とやってみた。その完成度を頼って、仕事がたくさん舞い込んできた。こうなったら皆から褒められたい。仕事は倍になったけど、いつもより多く時間をとって、どれも120%で仕上げてみた。
みんなにまた褒められた。嬉しかった。そうしたらまた、仕事がたくさんやってきた。こうなったらお昼の時間を半分にして、残業ももっとしよう。そうしたら上司から表彰された。もう期待は裏切れない。頑張り続けた。
いつからか、自分に仕事を依頼してきた相手が、定時で帰っていくようになった。でも、私は感覚が麻痺したように仕事を続けた。とにかく全部、完璧に仕上げなければ。そうしたらまた褒められ(別名:おだてられ)て、私は嬉しく…
(以下、同文。 注)無限ループ)
このループの先に休養することを決め、やっと時間に余裕ができた。休みが出来たら色んなことをやろうと思っていたのに、何もできない。あんなにハードに動き続けてきた自分が、何もする気が起きないなんて。自分でも信じられない。そういえば、休み前に引き継いできたあの仕事、どうなったかな?私は自然と、同僚にメールしていた。
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…こういうの、頑張って働いている人には結構あることなんじゃないかと思います。時間ができても、何をしたらいいか分からないし、なぜか罪悪感があったりして。
きっと、注目すべきは「何もする気が起きない」っていう部分なんですね。戦争のような大きなことではなくても、自分にとってギャップがいつの間にか大きくなっていたというような出来事、結構あるんじゃないでしょうか。
無意識のうちに自分に鞭打つことが当たり前になっていたりするのはよくあると思うんだけど、鞭打たれていないと生きた心地がしないというのは、やっぱりまずいなと思うんです。本当は何も問題など起きていないのに、刺激を求めて自分から問題量産していたりするのも危険ですよね。
何を隠そう、おそらく私自身も根本先生の言う「Mさん」(=M気質の人?)であり、ということは、最初ブログで目にした時に「どこぞのプロレス集団?」と思った、「自立系武闘派情熱女」というのに当てはまるのかもしれません。ぎゃーー。