仕事と心のDiary

デトックスのための文章

空の色が過去の自分を連れてくる。

家事の中で、洗濯物を取り入れるのが一番好きだ。もっと言えば、洗濯物を取り入れる時に見る夕暮れが好きだ。日を浴びてあたたかくなったタオルやシャツを抱え、建物と建物の間に差し込む美しいオレンジを見る。それは季節や場所によって、薄いブルーとピンクの融合だったり、パープルだったりする。幸せを凝縮したような時間。

 

色んな空の色を見てきたなと思う。中学生の頃は陸上部に好きな人がいて、自分の部活がもっと長引けば帰りの時間が一緒になれたかもしれないのに、と考えながら友達と帰り道を歩いた。その時に見たのは濃いオレンジ色の空で、下校の時に校内放送で流れていたのは坂本龍一の『戦場のメリークリスマス』だった。

 

社会人になり、好きな人と花火を見に行った。花火が楽しみというよりも、花火が始まるまでの、お酒を買って場所を取り、始まるまでたわいもない話をする時間が好きだった。薄いブルーの空が、だんだんと色を濃く落としていくのを見ていた。

 

ある日の仕事の帰り道では、ずっと行きたかった留学にいつか行こうと決めた。25歳の頃だった。勤務を終えて乗り換え駅で電車を待つ間、ビルとビルの間にピンクと水色が混ざり合ったような空が見えた。そのまま電車に乗り、窓からずっとその色を眺めていた。

 

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 今は分からなくても、何年か後で空の色を見た時、昔の自分の気持ちも思い出すのかもしれない。そうやって空は、色んなことを繋いでいく。だから今日の空もちゃんと見ておこうと思う。いつかの未来の自分のために。