仕事と心のDiary

デトックスのための文章

家にいるのに家に帰りたい。

『家にいるのに家に帰りたい』という本のタイトルを見て、笑ってしまった。これ、なんか分かる。朝起きた時から「あぁ、早く帰りたい」と思っていたことあったな。家にいるのに。

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この本を実際に読んだ。濡れたままの髪でランドリーへ出掛ける描写が好きだ。置き場所のない気持ちを抱えて外に出る夜。私が曇りなく安心を感じられる日は、これから先来るのだろうか。まるで映画のワンシーンを観ているように、孤独の断片が詰まっていた。人には安心できる場所が必要だ。

 

私はこの本を読み、「棘」について想像する。棘が生える前、そこはただ凹んでいた。なだらかにすべてを受け入れる。そこに何日も何年も外からの刺激が加わる。押されたり引っ掻かれたり、冷たい空気に触れる。やがて耐えられなくなり、棘は生える。最初は小さいが次第に大きくなり、無視できない痛みや生きづらさを呼び寄せた。人は棘が生えた理由を無視して、自分の棘を「欠陥」だと思ってしまう。心が開けなかったり、人に辛くあたってしまったり、何も感じないように心を硬くすることを、なぜ自分はこうなんだろう?と責める。でも本当は棘は守ろうとした。自分の真っ新な部分が傷つかないように。

 

人を責めず、自分の棘を折ろうとするのは本来とても優しくて繊細だからだ。私はこの本の表紙のような、膝を抱えたイラストを見ると思う。自分を守るために、棘を出さなければやってこられなかった。それだけ心が頑張っていたってことだ。必要なのは棘を折る刃ではなく、心を帰す家だ。暖かくて、安心できる場所。