仕事と心のDiary

デトックスのための文章

届かないスープ

予定より一時間も早く目が覚めた朝。その一時間は、ベッドの中でしっかり消費した。ずっと寝ていられる土曜が待ち遠しい思いだった。

 

昼食は、久しぶりにウーバーイーツを利用。少し離れたお店にユッケジャンスープを注文した。辛いものは、昔バリ島へ行った時に噛んで死にかけた青唐辛子を除き、毎日二食ほど食べても良い程度には好きだ。

 

しかし、本日のウーバー氏。約束の時刻から30分が経過しても、家に来なかった。迷っているのかなと不安になりながら、もはや通常運転になりつつある昼のオンライン会議に繋ぐ。待つこと1時間。そしてついには、外の誰にも接触していないのに「配達完了」のお知らせが。

 

まさか玄関前に……? と思い、玄関ドアをそっと開けてみる。何もない。寒い。ウーバー氏に電話することにした。

 

ウーバー氏(以下、ウ)「はい、もしもしー?」

私「あの、注文したKasumiです。配達完了と通知があったのですが、まだ届いていないのですが……」

ウ「あれ?お届けしたですけれど……お住まい、建物、○○団地で合っておりますね?」(←※全然合ってない)

私「すみません、合ってないです……そこからアプリに入れた住所までは、結構距離があるのですが」

ウ「ちょっと待っててください、今まだ近くいますので。貼り紙あってドア前置いたので、取るので少しおまちくださいね?」

 

貼り紙?ドア前?!…なんということでしょう、と、思わず心の中で呟いた。

 

ビニールに入ったユッケジャンスープが、ぽつんと置かれた団地の玄関前の風景を想像する。河瀬直美監督、あるいはホン・サンス監督の映画のワンシーンにはあるだろうか。でも、実生活ではホラーでしかない。ウーバー氏には、「はい、頼んでいないのに玄関前にご飯があったらちょっと怖いと思うので、とりあえずお願いします」と伝える。

 

話し方からすると、ウーバー氏は日本の人ではなさそうだった。そして後で聞いたら、この辺りの人でもないのだという。彼は微妙にエリアと部屋番号だけは一致しているお宅の玄関前に私のスープを置き、「配達完了」とアプリに登録してしまったために、「(私の)住所がもう確認できないのです、データ消えてしまった」と言う。色々とこじらせている。なぜウーバーイーツに志願した。

 

そこから道を説明して数分後、もの凄く人の良さそうなメガネのお兄さんが現れ、「すいませんでした、作り直しもできますので」と、封をあけない状態でご飯が届けられた。不思議な達成感。少し考えて、そのまま温めて頂いた。凄く美味しくて、今度は自分の足でも店に行ってみようと思った。