仕事と心のDiary

デトックスのための文章

「15の石」から私が教わった、年齢を重ねることの魅力。

十五という数字は、日本では「完成」を意味するものとされる。そういえば十五夜は満月で、七五三もある。農耕民族の頃から取り入れられていた二十四節気(15日ごとに季節が変わるとする暦)は今も生活に在り、奈良時代以降は男性が成人を迎える年齢が15歳とされた。15歳で成人、早いな…。行先も分からぬまま、盗んだバイクで走り出した年齢ではなかったか。

 

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『新美の巨人たち』(テレビ朝日)で、京都・龍安寺石庭の特集が放送された。龍安寺は訪れたことがあり、庭の石の話もガイドブックなどで確か読んだはずだが、まるっきり新しい情報として新鮮に聞けてしまった。

 

石の配置についての説が面白かった。庭には大小様々な15の石があるが、配置が計算されており、座って正面から眺めただけではすべての石を同時に眺めることができない。この庭を真上から眺める時、私は大陸を表現しているように感じたが、ナビゲーターの近藤サトさんは「宇宙のようだ」と言っていた。実際、庭に夜空を描いたとされる『コペルニクス説』というのがあるらしい。

 

そして、石の置かれた場所を辿ると「心」という字になるとも言われている。石の配置にはルネサンス期の欧州で主流だった黄金比を採用することで、「調和」を表現しているのだという。山水(自然)と心、そして調和が託された庭。座った人間の目には全貌が見えず、ある場所に立った時に初めてすべての石を望める。この教えは、昔の自分にはやっぱりよく分からなかっただろう。年齢を重ねることの魅力を、この石庭は時代を超えて私達に提示している。