仕事と心のDiary

デトックスのための文章

いつまでも変わらないものを求めて

耳にはめたEcho Budsから流れてくるクリスマスのプレイリストは、前日の夜YouTubeからダウンロードしたものだ。地下鉄でそれを聴いていると、大きな紙袋を持つ人や車内のスクリーンに流れている赤い箱のチョコレートのCM、モスグリーンのコートを着た人、すべてがクリスマス仕様に思えてくる。

 

しかし、自分の心はといえばクリスマスとはかけ離れた場所にあった。その日は頑張っているのに虚しく、自分では割り切ったと思っていても、そんな勝手な都合では片付けられない圧力があるように感じられた。上司に近い席にいるのにお構いなく鼻水や涙が流れてきて、それをマスクの中に収め、ハンカチを片手に席を離れた。

 

職場で飲むコーヒーも、腰掛けた椅子の感触も、誰かと交わす「お疲れさま」も私にとっては永遠ではない。何も心配しなくてもずっと続くと感じられる、毎年のクリスマスのようにそこに必ず待っていてくれる未来が、人生にもあったらいいのにと思う。

 

その日は、毎年この時期にだけ出るTULLY'Sのアイリッシュラテを飲んで帰ることにした。そのほろ苦い15分が、少しだけ気持ちを甘くしてくれた。

 

翌日、忘年会の返事を欠席で出したら、同じように欠席した人が私のところへタタタタッ、と青春みたいに駆け寄ってきて、「kasumiさんがいてくれてよかったです」と言ってくれた。確かに人がやらないことをやるのには勇気がいる。私も安心できてありがたかった。しかし、おそらく今回のように大人数の飲み会の場合、私たちが会場にいないことに最後まで気づかない人、果ては同じ会社で働いていることすら、気づいてない人も多い気がした。

 

人の感情や記憶ほど曖昧なものはなく、環境も必ず変わっていく。だから毎年変わらず訪れるクリスマスのように、自分にとっての「変わらないもの」を思い出す時間が欲しくなる。それがたとえ、ほんの15分でも。