ひんやりした雨の夜。懐かしい音楽を聴きながら、先日買ったチロリアンみたいな花のマスキングテープを手帳に貼っていく。そのページは華やかさを増していくのに、そこに書かれた予定も、未来の時間もどこか一人歩きしているように思えた。書き込む場所は際限なくあるのに、湧いてくるものが何もなかった。
あるときに感じた恐怖や安堵は、何日かして波となり戻る。先日の夜中にふと、絶望しているんだ、と気づいた。何かを得て、失くし、また何かを得て失くすの繰り返しにしか思えなかった。これからが楽しみだと話す友人の相談にもうまく応えられず、声をかけてくれた人に、会って自分の何を話せるのかわからなくなった。
予定を書くことも、探すことも、濁すことも。面倒な時はただ猫のように丸まって、雨音を聞いていたい。