仕事と心のDiary

デトックスのための文章

幸せに気づく帰り道

「でー、あなたお仕事はどうされているんだっけ? ずっと在宅ですか。肩凝りも辛いでしょう。指から肘までが痛いとのことだけど、ピアノやっているのね。どれぐらい弾くの? 休みの日に3時間、ほぉー。

腱鞘炎はね、温めるといいんだよ。今寒いから、ただでさえ腕も固まりやすいの。毎日湯船に浸かってね。あと、忙しければ指一本でもいいから、日光浴すること。一時間ぐらいは陽に当ててね。

やっぱり人間はね、外に出ない生活になると、身体に色々来る。精神的な面も、どうしたっておかしくなっていくものですよ。こんな時期だから仕方ないんだけどさ、この辺り一周歩くのだけでも違うからね」

 

去年から平行線を辿る腱鞘炎の痛みを治すために整形外科へ行ったら、おじいちゃん先生にそんなことを言われた。別の技師のおじいちゃんにレントゲンも取ってもらい、そこまで症状は酷くないとのことでひと安心だった。

 

「先生、ピアノってまだ弾かない方がいいですかね?」と訊いたら、「うーん、でもさ、みんな結局弾いちゃってんだよねぇ。ピアノの先生やってる人達なんかも、大体腱鞘炎はあるからね。なるべく腕は休ませる。でも、暖かくなってきたら自然に良くなっていくだろうからね」とのことで、湿布と塗り薬を処方してもらって帰る。

 

薬局まで歩きながら、先生の言葉を反芻した。自分が気づいていないだけで、環境が変わったことに対する不調というのが昨年はあったのかもしれない。パソコンやマウスを動かす位置に無理があるだけで、こんなに手や腕が痛くなるのだとも知った。姿勢も悪くなったと思う。会社のデスクや椅子って本当に尊い

 

全然関係はないが、私はやっぱり年配の人が好きだ。それは今までも、実はよく感じていた。不思議な安心感とでもいうのだろうか。昔、大物俳優のおじいさん達を若手俳優が旅行に連れて行く韓国のバラエティ番組があって、それも本当に好きで何度も観ていた。教授や先生と呼ばれる職業の人達も好き。だから、大学、病院、そういった場所も好きだ。

 

たとえばそういう人達から、何かを縛るような古い時代特有の価値観に触れたとしたら、それはきっと辛いと感じるだろう。けれどそうではない学問的な知識や、経験に基づいた知恵。おおらかさ。自分の遥か先を生きる人達の姿を見て、そうした古く良きものを吸収して生きていけたら。そんな環境にいられたとしたら、それはきっと自分にとっての幸せな生き方だと思う。