残業をすると、普段見えないことが見えてくることもある。たとえば、普段話さない人とも、お互い遅くまで残っていることで会話が生まれたりするでしょ。それは喫煙室での情報交換にも似ていると思う。そういう余白の時間から、相手の人となりが判明したりします。
よく、一緒に残業していたことがきっかけで付き合ったり不倫しちゃったりもする。幸せな恋愛に結びつけばいいけど、疲れた心では足を踏み外すことも簡単だ。
今は残業に否定的な会社も増えているから、たとえば夜9時過ぎのオフィスなどは、もう空気感から言って「職場」ではないよね。なんというか…朝のコーヒーの香りと挨拶に包まれた清々しいオフィスとはまったく別ものの性質を持った場所なのだ。
少しの危険性をはらんだ、余白の時間。疲労や諦観から生まれるシンパシー。そこにしか生まれない会話がある。すべてのオフィスにそんな夜が存在していることを思うと、人生は割とドラマに溢れているように思う。