仕事と心のDiary

夜になったら色んなものを脱ぎ捨てよう。

別れは軽いぐらいがちょうどいい。

なるべく軽やかに描かれる「別れ」が好きだ。綺麗過ぎるわけでもシリアス過ぎるわけでもなく、ただその後もお互い生きていくんだと感じられるような別れ。

 

たとえば『愛の不時着』では、身を引き裂かれるような辛い別れも、命がけで誰かを救うシーンでも、登場人物のセリフや表情にどことなくユーモアがあり、不思議と軽快さが感じられた。

 

ベートーヴェンソナタの中には、『告別』というのがある。これは気難しい彼が唯一と言っていいほど親しくしていたパトロンと戦争で別れた際の曲。導入部の悲しみ以上に伝わってきたのは、パトロンを称えるような躍動感と優雅さだった。

 

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ショパンの『別れの曲』も、悲しみよりはそれも含めた上での圧倒的な穏やかさに包まれている。彼らの時代は今よりも避けられない別れが遥かに多かったはずで、それをどう昇華していたかが伝わってくる気がする。一緒にいられない事実より、一緒にいた時間が曲を明るくした。

 

誰かとの別れの時、一緒に悲しんで泣くのもまた良いものだけど、「元気でね!」って肩をポンとされたり、色紙に書かれた「良い人生を」という一言が驚くほど気持ちを軽くさせてくれた。

 

在宅の人が増え始めた時期に、CDTVMISIAが『さよならも言わないままで』という曲を歌った時、その歌詞が今の世の中に向けてとても真摯だったために、感動的な曲ながら聴いているのが辛くなってしまった。

 

別れはどうしたって悲しく辛いものだからこそ、その重みを知る人達が描くフランクで温かい「またね」に助けられてきたのかもしれない。敢えて軽く交わす別れの挨拶も、いいものだと思う。