仕事と心のDiary

デトックスのための文章

23時から深まっていく沼。

『俺の家の話』が好きすぎて、TBSオンデマンドまで入って毎日リピート再生しています。キャラが全員好き。脚本も好き。父親と息子二人が同じ女性を好きになるストーリーはドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』のオマージュなのでは、と書かれているコラムを読んで、『罪と罰』は途中で挫折した(=ロシア人の名前が長いし難しいしで覚えられない…)けど、頑張って挑戦してみようか、と考えています。

 

昨年末は『鬼滅の刃』にはまって漫画(紙は売り切れだったので電子書籍)を読み漁り、大掃除どころではありませんでした。LiSAの『炎』を聴くと色々こみ上げてくるので、歌詞のないピアノならいけるかも…ということで楽譜を買って弾いて、でも結局何かこみあげてきて。それしか考えられなくなってしまう不思議な感覚があり(これを「沼」というのか?)、漫画もピアノも自粛するという謎の流れに。

 

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一日の中で、一番好きな時間帯があります。23時から0時を過ぎるまでの、本当の「独り」になれる時間。この時間があるから生きていられるような気もする。音もない、誰とも会話をする必要のない、世間から切り離された自分だけの時間。

 

最近はその時間に、『希望の灯り』というドイツ映画を観ました。映画館で上映していた時に観られなかったもの。深夜のスーパーマーケットで品出しの仕事をして生計を立てている人達の、家庭や恋愛、過去を静かに辿っていくような映画でした。かすかに描かれるクライマックスは、ずっと穏やかだった水面に小さな石が落ちて、静かに波紋が広がっていくのを眺めているようでした。大きなことというのは何か特別な時にではなく、日常の何気ない瞬間に起こることでしかないのだと思いました。

 

私が観たドイツ映画は、ここ数年だと『女は二度決断する』『男と女、モントーク岬で』『運命は踊る』『TRANSIT(未来を乗り換えた男』などがあるのですが、「あの時にこうしていなければ、今は?」という運命論を静かに辿っていくような作品が多い気がして、夜のひとり時間に観るには不思議と心地よく感じます。